内視鏡検査全般について

最近は胃腸専門医師が胃も大腸検査もバリウム検査ではなく、内視鏡検査を勧められるのはどうしてですか?

バリウムの検査に比べて内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)の方が病変の見落とし率が低いのが、その理由です。また、バリウムの検査の場合は異常が見つかった際に再度内視鏡検査を受けていただく必要があるなど時間、費用の点で負担が大きいのですが、内視鏡検査ではすぐその場で細胞を採取して精密な病理検査が出来るメリットがあります。
また医療技術や機器の進化もあり現在は苦痛の軽減が図れ、かつ精度の高い検査結果が得られるようになってきました。当院では高性能な拡大内視鏡機器をそろえ、特殊な波長の光によって病変をスクリーニングする狭帯域光観察(NBI)を全例で行っているので、当院での早期胃がん、大腸がん、ポリープの発見率は統計上の発見率を大幅に上回っています。

胃カメラや大腸カメラで、他の患者さんの病気が感染しませんか?

内視鏡の機械は大変高価なもので一人一人に使い捨てというわけにはいきませんのでどこの病院、クリニックでも洗浄・消毒しています。しかし、この洗浄・消毒には「日本消化器内視鏡学会」が定める厳しい安全基準(ガイドライン)があり、当院ではそれをクリアーした内視鏡機器の洗浄を行なっていますので、安心して検査を受けていただけます。さらに、院内でご使用いただくスリッパも殺菌灯とオゾン気流により処理しています。

胃カメラ(胃内視鏡検査)について

胃カメラ検査は、いつ行なっているのですか?

月曜から土曜まで毎日午前中と月、水、金曜日の午後に行なっています。検査前に胃の中を「からっぽ」にする必要がありますので、食事や飲み物に関しての制限があります。
詳しくは「胃内視鏡検査」をご覧ください。

具体的な検査の手順などについてお教えください…

当院では入念な「咽頭麻酔」と「意識下鎮静法」という手法を導入しており、患者さんの緊張具合によっては「鎮静剤」を注射させていただきます。鎮静剤の量も画一的ではなく、院長の長年の経験により判断し微妙な加減が為されます。また、安心して検査を受けていただけるよう検査の必要性、やり方、結果などもその都度十分わかってもらえるまでご説明いたします。ご希望の方には、検査中に「液晶モニター」で一緒に画像をご覧いただきながらの説明もさせていただきます。それ以外にもいろいろ他院ではない工夫がこらされていますが、文字や言葉で表現できない経験に基づいた技術は一度検査を受けていただければすぐに違いがわかると思います。

鼻からの胃カメラ検査(経鼻内視鏡検査)は行なっていますか?

当院では鼻からの胃カメラ検査はしておりません。その理由は、経鼻内視鏡用のスコープは光学機械としての基本性能が、当院で全検査に使用しているオリンパス社の最上位機種GIF-HQ290と比べて圧倒的に劣るからです。どちらも基本的な構造はほぼ同じですが、経鼻内視鏡用スコープは経口用スコープの約半分の太さです。つまり、その断面積は約1/4しかありません。ということは、経鼻内視鏡用のスコープは構成する部品を大幅に小型化する必要があるので性能面を犠牲にするしかありません。当院での全ての検査で使用するハイビジョンスコープは経鼻内視鏡では出来ない拡大観察や超早期がんなどの微細病変の発見に役立つ狭帯域光観察(NBI)を用いた精密検査が出来るので、精度的に経鼻内視鏡用のスコープを圧倒しています。どんな名医でも見えない病変は見つけようがありません。 また、経鼻内視鏡検査は誰にとっても楽な内視鏡検査というわけではありません。日本人の約90%は大なり小なりの鼻中隔湾曲症(左右の鼻の穴の仕切りに曲がりがある状態)があるといわれていて、さらに約40%が花粉症を含むアレルギー性鼻炎といわれています。慢性的に鼻粘膜に炎症がある方も相当数いますので、鼻粘膜が腫れていて麻酔をしても鼻からは内視鏡が痛くて入らないという患者さんが少なからずおられます。
経鼻内視鏡検査は、検診や人間ドックあるいはスクリーニングを目的とする医療機関での検査を目的に作られたものと思っています。最高水準の診断精度を目的としている当院では、入念な「咽頭麻酔」と「意識下鎮静法」を用いてどなたでも苦痛なく、安全に検査を受けていただくことができますので、あえて経鼻内視鏡検査を行う必要性はないと考えています。

経鼻内視鏡を採用されないのはどうしてですか?

鼻中隔の曲がりや花粉症の多い日本人には不向きな点を指摘されています。また内視鏡の内部にはさまざまな精密装置が内蔵されています。当院での全ての検査で使用するハイビジョンスコープは経鼻内視鏡では出来ない拡大観察やがんなどの微細病変の早期発見に役立つ狭帯域光観察(NBI)を用いた精密検査が出来るので、精度的に経鼻内視鏡用のスコープを圧倒しています。

検査時間はどれぐらいかかりますか?

検査そのものはだいたい5~6分で終わりますが、検査後に鎮静剤の影響がなくなるまでしばらく休憩していただきます。そのあと検査結果のご説明をさせていただきますので受付から会計まで早い患者さんで1時間、長い患者さんで2時間程度です。

胃カメラの費用はどれくらいかかりますか?

検査のみの場合、生検(組織検査)を行なった場合、ピロリ菌の検査を行なった場合などで異なりますが、3割負担の方で"5,000円~13,000円"位までが最も多いケースです。2割負担の方はその3分の2、1割負担の方はその3分の1です。母子家庭、身体障害者の方やその他の医療券をお持ちの方は所定の負担金までとなります。生活保護を受けておられる方は保険診療上の一部負担金はありません。

大腸内視鏡検査について

大腸内視鏡検査はどのようなときに受ける検査ですか?

便に血が混じったりトイレットペーパーに血液が付くような場合、また検診などで便潜血反応検査を受けて陽性の結果が出た場合におすすめしています。また、出血を伴わない早期の大腸癌もありますので、40歳以上の方と血縁に大腸癌や大腸ポリープの診断を受けた方がいらっしゃる方は一度は検査を受けておかれることをお勧めします。当院では専用の検査待合室、患者さんごとに専用のトイレを用意し出来うる限りの気配りと工夫でリラックスした検査を受けていただく体制を敷いています。

大腸内視鏡検査について簡単に教えてください…

胃カメラと同じ原理と仕組みですが、大腸専用の電子スコープで直腸から挿入し、腸の内部を観察する検査です。胃カメラと同様、フルカラーで液晶モニター上に映像を映し出して異常がないかを観察します。ポリープや癌などの疑わしいところがあれば、その場で組織の一部を採取(生検)し、細胞レベルで調べる病理検査をします。

大腸内視鏡検査はどういう手順で行なわれるのでしょうか?

当院では、検査前日の夜に「緩下剤」を飲んでいただき、検査当日は午前9時00分頃にご来院いただきます。来院後、検査待合という専用の部屋で「洗腸液」という腸の中を掃除するお薬を飲んでいただきますが、必ずしも2リットル全部飲んでくださいというような堅苦しいことは申しません。予約の際と当日にスタッフよりわかりやすくご説明いたします。洗腸液を飲んでいただくと便意を催すので何度かトイレに通っていただきますが、患者さんごとに、ウォシュレット完備の専用トイレをご利用していただきますので他の患者さんとトイレの取り合いになることがありませんのでご安心ください。過去に当院で大腸内視鏡検査を受けられたことのある方で、ご希望の方はご自宅で当日の「洗腸液」を飲んでいただくことも可能です。予約時にクリニックでご相談ください。 腸の掃除が終わりましたら、おおむね12時頃から検査を始めますが検査の時は当院で用意しております「使い捨ての専用検査用トランクス」(紺色で後ろに内視鏡が挿入できる小さい切れ込みが入っています)を着用していただきます。検査時には横向けに寝ていただくだけですので、女性の方も恥ずかしい思いをすることなく安心して検査を受けていただけます。検査が終わりましたら、シャワールームで検査時に使用するスコープの滑りをよくするゼリーなどを流していただけますので着替えたあとの不快感もありません。バスタオル、ボディーソープなどもすべてこちらで用意しておりますのでご安心ください。

大腸内視鏡検査はとても痛くてつらいと人に聞いたことがありますが…

大腸内視鏡検査は胃カメラの時と違って、腸の長さと曲がり具合に個人差が大きいので、ますます内視鏡医の経験と技術の占める割合が多くなります。直腸の奥はS状結腸と言うぐらい曲がりくねっているので内視鏡を挿入していく際に多少お腹が張ったり突っ張ったりする感じがありますが、ここが技と工夫の見せ所です。
当院では、検査時に院長の判断で必要に応じて鎮痛剤、鎮静剤を絶妙に組み合わせて使用しますので、ご心配されるほどの痛みは全くありません。痛みが強いため検査を途中で中止した患者さんは、ほとんどおられませんのでご安心ください。

検査の費用はどれくらいかかりますか?

検査のみ場合、生検(組織検査)を行なった箇所数などで異なりますが、3割負担の方で"10,000円~18,000円"前後位が最も多いケースでしょう。
ポリープ切除などの内視鏡手術を行なった場合は"35,000円~40,000円"前後になります。2割負担の方はその3分の2、1割負担の方はその3分の1です。
母子家庭、身体障害者の方やその他の医療券をお持ちの方は所定の負担金までとなります。
生活保護を受けておられる方は保険診療上の一部負担金はありません。

院長・クリニックへの質問

院長の専攻科目である病理学とはどのようなものですか?

臨床医学に対して基礎医学という分野がありますが、その中の『病理学』の研究をしたことが今の私の大きな財産となっています。内視鏡を使って採取した組織の一部を調べることで、例えば腫瘍が悪性か良性かを診断するのが「生検組織診断」ですが、内視鏡のレンズを通して色や形を肉眼で診断し組織を採取するのが内視鏡医。その組織を細胞レベルで検査するのが病理医です。"取り残しがあったかどうか"など、行なわれた手術が適正であったかどうかの判断するのも病理医です。それゆえ病理医は、"医者のなかの医者"と呼ばれることもあります。私は卒後2年間の臨床研修を終えたあとさらに2年間の一般臨床経験を積み内科の大学院に進みました。恩師である内科の教授より病理学教室での研究と消化器病理の勉強を指示されました。そして「大腸癌の病理学的悪性度診断」をテーマに博士号を取得したのですがこの大学院時代は私の消化器医としての視野を大きく広げることになりました。

病理検査は、検査会社に委託しておられますか?

当院の病理検査は、検査会社に委託して見ず知らずの病理医の診断を盲信するのではなく、すべて内視鏡専門医である私が納得するまで観察して採取した組織を肉眼所見を熟知した上で私自身が最終的な病理診断しています。もちろん独善に陥らないよう境界線上の病変については病理研究時代に知り合った複数の信頼できる熟練病理医に意見を聞きディスカッションして診断するようにしていますのでご安心ください。